七転八起のブログの力! 10885477


小 沢 革 命

国民主権!!
日本の政治を根底から叩き直す!!
正義を貫く!!



主権者国民連合

           基本政策
1.「シロアリ退治なき消費増税」の白紙撤回
2.TPPへの不参加
3.国民の同意なき原発再稼働阻止


“ 小沢一郎政権を断固樹立!! ”



七転八起のブログの力! ブログ25 選 plus 2
(クリックするとジャンプします。 順不同敬称略)



*これは我々の独自な選定です。
尚、追加や変更もあります。  




多極化とTPP (田中 宇)

1:みや :

2015/10/08 (Thu) 02:19:05

http://tanakanews.com/151007tpp.htm



2015年10月7日

 ロシアがシリア政府の要請を受けてISIS退治を始めたことで、世界の覇
権体制の多極化と、米単独覇権体制の崩壊に、拍車がかかっている。前回の記
事に書いたように、ロシア軍は数日でISISを総崩れの状態に追い込んでい
る。おそらく今後半年以内に、シリアとイラクは、ISISやアルカイダのテ
ロ組織がほとんど掃討され、ロシアとイランの傘下でかなり安定した状態が始
まる。ロシアは今後ずっと、中東で大きな影響力を持つだろう。その分、米国
(や英仏)の中東における支配力が大幅に低下する。
http://tanakanews.com/151004syria.php
◆ロシアのシリア空爆の意味
http://asia.rbth.com/news/2015/10/04/russian_air_strikes_disrupt_supply_system_of_isis_terrorists_in_syria_-__49797.html
Russian air strikes disrupt supply system of ISIS terrorists in Syria - Russian General Staff

 10月5日、シリアでテロ組織を空爆中の露軍機が、間違ってトルコの領空
内に数キロ入って飛行してしまい、トルコ空軍機が緊急発進し、ロシアがトル
コに謝罪した。露軍機が領空侵犯したのを見て、米国がトルコに「露軍機を迎
撃しろ」とけしかけたが、トルコ外相は「ロシアは友人だ。領空侵犯に対して
は、友人として優しく注意喚起した」と表明した。今回の露軍のシリア進出は、
トルコがシリアのクルド人を攻撃することを阻止しており、トルコはロシアに
対して激怒している。しかしトルコは、中東で大きな力を持つようになった
ロシアを強く批判したがらない。ロシアは、トルコにアサド政権を容認せよと
求めており、いずれトルコはしぶしぶ従うだろう。
http://tass.ru/en/world/826285
Moscow informs Ankara about Russian plane incident - Turkish PM
http://www.todayszaman.com/diplomacy_russian-made-fighter-jet-harasses-turkish-f-16s-over-turkeys-syrian-border_400643.html
Russian-made fighter jet harasses Turkish F-16s over Turkey's Syrian border

 イスラエルのネタニヤフ首相は米CNNのインタビューで、露軍のシリア進
出を非難しているNATO諸国と異なり、イスラエルはロシアを非難しないと
表明した。ネタニヤフは「もうロシアと対立していた時代には戻らない」と宣
言し、今後はロシアと協調的な関係を維持すると述べた。トルコもイスラエル
も、ロシアが中東の新たな覇権国であることをすでに認めている。
http://www.reuters.com/article/2015/10/03/us-mideast-crisis-syria-netanyahu-idUSKCN0RX0N520151003
Netanyahu says Israel's relationship with Russia is good

 英国の議会では「英空軍もISISの拠点を空爆すべきだ」と要求する声が
強まっている。ロシアが、シリアとイラクを席巻していたISISを退治する
と、シリアとイラクに対する影響力を米英仏から奪う結果になる。英国が中東
での利権をロシアに奪われないようにするには、ロシアが進めているISIS
退治に参加するしかない。英国は従来、ISISを潰すふりをして強化する米
国の策に協力し、米国と歩調を合わせてロシアを敵視してきた。それが突如、
ロシアと一緒にISISを空爆しようという話になっている。露軍のシリア進
出が地政学的な大転換であることが見てとれる。
http://www.rt.com/uk/317681-syria-bombing-hammond-support/
Support growing in Parliament for bombing ISIS in Syria, says UK FM

 英国の外務省の事務次官(Simon McDonald)は最近、英議会の外交委員会で
の証言で、「人権」がすでに英外務省にとって重要なテーマでないと表明した。
同次官は、人権よりも経済発展(prosperity agenda)の方が英外務省にとって
優先的な事項だとも述べた。これまで英米の外交官たちは、ロシアや中国など
新興諸国や発展途上国に対し、人権問題を理由に経済制裁して弱体化させたり
従属させる「人権外交」を得意としてきた。英外務省が人権を重視しなくなる
ことの意味は、英国が、米英同盟による世界支配戦略をやめて、これまで人権
問題で批判してきた中国や露イランやBRICSに接近し、それによって
英経済を維持する策に転換したということだ。英国は、人権外交をやめる
ことで、米覇権の崩壊と多極化に対応しようとしている。
http://www.independent.co.uk/news/uk/politics/human-rights-are-no-longer-a-top-priority-for-the-government-says-foreign-office-chief-a6677661.html
Human rights are no longer a 'top priority' for the Government, says Foreign Office chief
http://tanakanews.com/070118UN.htm
人権外交の終わり

 話をシリアに戻す。米国とロシアは、それぞれの陣営の地元の国々(米はサ
ウジアラビアとトルコ、露はイランとエジプト)を引き連れて、シリア問題の
解決を話し合う「コンタクトグループ」を設置した。EUも入れてくれと頼ん
だが、米国に断られてしまった。米国は、EUを除外することで、これまで米
国と欧州諸国が共有してきた中東利権を、みすみす全部ロシアに渡してしまお
うとしている。これは欧州を怒らせている。ドイツでは、メルケルの与党
(CSU)の党首(Horst Seehofer)が、難民流入問題に絡む発言として、
シリア問題で米国と組むのをやめてロシアと協調すべきだと提案した。
http://news.antiwar.com/2015/10/01/us-seeks-to-cut-europeans-out-of-syria-peace-talks/
US Seeks to Cut Europeans Out of Syria Peace Talks
http://rinf.com/alt-news/breaking-news/historic-news-finally-eu-and-u-s-are-breaking-apart/
Finally, EU and U.S. Are Breaking Apart

 ドイツなどEUは、米国の戦略失敗によって内戦状態が続くシリアやリビア
から大量の難民が押し寄せ、非常に迷惑している。ISISなどテロ組織をこ
っそり育てて内戦を激化するばかりの米国より、テロ組織を空爆してどんどん
潰すロシアの方がずっとまともだと欧州人が思うのは当然だ。
http://atimes.com/2015/10/a-syriaberliner-ensemble-escobar/
A Syria/Berliner ensemble: Escobar
http://rinf.com/alt-news/editorials/the-western-alliance-is-crumbling/
The Western Alliance Is Crumbling

 ドイツなどEU諸国は、ウクライナ危機でロシアに濡れ衣をかけて経済制裁
する米国につき合わされ、対露貿易が減少して経済的な打撃を受けている。ウ
クライナとシリアの両方で、EUは米国のロシア敵視のやり方に怒っており、
米国を無視してロシアと関係を回復すべきだという声が強くなっている。先日
は、メルケル首相が初めてクリミアがウクライナでなくロシアの領土であるこ
とを認める発言をしている。欧州の対米従属は終わりに近づいている。
http://russia-insider.com/en/german-government-wants-sanctions-russia-lifted/ri10147
German Government Wants Sanctions on Russia Lifted
http://sputniknews.com/politics/20151003/1027980523/merkel-admits-crimea-is-part-of-russia.html
Finally the Penny Drops: Merkel Admits Crimea is Part of Russia
http://tanakanews.com/140309russia.htm
プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動

 ウクライナでは今年初め「ミンスク2」の停戦合意が締結されたが、米国に
好戦策を扇動されたウクライナ政府は兵器を前線から撤退させる約束を守らず、
戦闘が続いてきた。しかし最近、ロシアとEUが協調して圧力をかけた結果、
ウクライナ軍はようやく前線からの兵器の撤収を進めている。ウクライナの
事態は少しずつ安定に向かっている。

http://news.antiwar.com/2015/09/30/envoy-east-ukraine-weapons-pull-back-deal-could-end-war/
Envoy: East Ukraine Weapons Pull-Back Deal Could End War
http://tass.ru/en/world/826097
Kiev to begin withdrawing weapons Monday - headquarters
http://www.reuters.com/article/2015/10/02/us-ukraine-crisis-meeting-france-idUSKCN0RW22O20151002
Ukraine's Minsk process will run into next year: Hollande
http://tanakanews.com/150730ukraine.htm
ウクライナ危機の終わり
http://tanakanews.com/140404NATO.php
NATO延命策としてのウクライナ危機

 前回の記事にも書いたが、中国はアフリカ大陸の紛争解決に、国連平和維持
軍の兵力と資金を出すことを国連総会で宣言した。ロシアがシリア内戦の解決
に動き出したのを機に、米国覇権下で放置扇動されてきた各地の紛争が、露中
など非米・反米勢力によって終結させる努力が開始され、覇権の多極化が加速
している。
http://usa.chinadaily.com.cn/2015xivixitus/2015-09/29/content_22005596.htm
China to set up $1b peace fund
http://tanakanews.com/150924syria.htm
ロシア主導の国連軍が米国製テロ組織を退治する?
http://tanakanews.com/120206china.php
中国とアフリカ

 多極化が進むと、NATOは名前だけのものになってEUの欧州統合軍に取
って代わられる。EUと中露が接近する。それと同時に多極型世界の「極」と
なる北米(NAFTA)や中南米(メルコスルなど)、アフリカ(アフリカ連
合)などで、国際的な地域統合の動きが強まる。この流れは冷戦後、断続的に
続いているが、欧州と、ユーラシア中央部(ロシア主導のユーラシア経済同盟、
中露主導の上海協力機構)以外の地域では、地域統合があまり進んでいない。
http://tanakanews.com/120419americas.php
中南米の自立
http://tanakanews.com/f0306LaAm.htm
南米のアメリカ離れ
http://tanakanews.com/090707africa.htm
アフリカの統合
http://tanakanews.com/g1212NATO.htm
多極化に圧されるNATO

 露軍がシリアに進出し、中東覇権が米国の手から離れ始めた直後、米国が多
極化に対応する地域統合の策を進めていることが再び話題になっている。その
一つは、米国とカナダの軍事統合だ。カナダの公共放送(CBC)によると、
米軍とカナダ軍の上層部は2013年から頻繁に会合し、米加両軍の統合につ
いて検討している。防衛力の統合は、国家統合の大きな部分だ。
http://www.cbc.ca/news/politics/canada-election-2015-military-integration-canada-us-1.3248594
Canadian military explored plan to fully integrate forces with U.S.

 米国とカナダは、空軍について、自国上空の防衛を担当する司令部(NORAD)
を1950年代から統合して運営しているが、地上軍や海軍は別々に運営して
きた。今回、米加は、海外派兵する際の部隊の統合を検討し、最終的に軍隊
全体の統合にまでつなげていく構想も米加で共有していることが、カナダ軍が
CBCにリークした文書で明らかになった。カナダ軍より米軍の方がはるかに
規模が大きいので、統合はカナダ軍が米軍の傘下に入ることを意味している。
http://www.wsws.org/en/articles/2015/10/02/usca-o02.html
Canada's top general discussed fully integrating its armed forces with US military

 米国は、イラクが大量破壊兵器を持っていないのに持っていると濡れ衣をか
けて侵攻した03年のイラク侵攻や、シリア政府軍が自国民を化学兵器で攻撃
したと濡れ衣をかけて13年に空爆しようとしたことなど、違法な海外派兵の
策を繰り返してきた。カナダが海外派兵軍を米国と統合すると、このような違
法行為にカナダも巻き込まれることになる。それを懸念するカナダ軍内の勢力
が、CBCに米加軍事統合の計画をリークしたのだろう。

 世界的な長期の流れとして、戦後70年続いてきた米単独覇権の世界体制が
崩れ、多極型の覇権構造に転換すると、国民国家が至高の存在であるという世
界的な観念が過去のものになっていき、各地で国家間の統合が進むシナリオが、
米国のCFR(外交問題評議会)などによって、折に触れてうそぶかれている。
それを「陰謀論」と無視するのは簡単だが、EUや、露主導のユーラシア同盟、
BRICSなどの動きを見ると、多極化は国民国家間の統合につながるだろう
と感じられる。米加軍事統合は、そうした動きの一つだ。1民族1島国の天然
国民国家の日本人には知覚・理解しにくい流れだ。

 米国が関与する地域統合のもう一つの動きは、10月5日に交渉が妥結した
TPPだ。TPPは、米加メキシコの北米3カ国が1993年に締結した貿易
協定であるNAFTAを基盤に、中南米やアジア太平洋の親米諸国を加えて新
たな貿易圏を作る計画で、拡大NAFTAともいうべきものだ。
http://tanakanews.com/130812trade.htm
貿易協定と国家統合

 米国は、アジア太平洋諸国とのTPPと、欧州(EU)との協定である
TTIPという、2つの似た内容の自由貿易圏を同時並行的に交渉して設置す
ることで、米国中心の新たな経済覇権体制として構築しようとしてきた。だが
TTIPは、24の全項目のうち10項目についてしか米欧双方の意見表明が
おこなわれておらず、対立点の整理すら未完成で、まだ交渉に入っていない。
EUでは、署名活動として史上最多の300万人がTTIPに反対する署名を
行った。
http://www.politico.eu/article/ttip-negotiations-not-even-half-done/
TTIP negotiations not even half done

 TPPもTTIPも、企業が超国家的な法廷(裁定機関)をあやつって国権
を超越できるISDS条項や、交渉中の協定文が機密指定され国会議員でも見
ることが許されていない(米議会では数人が見たらしいが、日本の国会議員は
誰も見ていない)など、国民国家の主権を否定する傾向が強い。EUの調査で
は、欧州市民の96%がTTIPに反対だというが、当然だ。
http://tanakanews.com/120702TPP.php
国権を剥奪するTPP
http://truepublica.org.uk/united-kingdom/ttip-negotiations-fall-apart-as-eu-big-hitters-abandons-us/
TTIP Negotiations Fall Apart As EU Big Hitters Abandons US

 すでに書いたように、EUは今後、米国との同盟関係を希薄化して露中への
接近を加速し、米単独覇権体制を見捨てて多極型世界の「極」の一つをめざす
だろう。欧州がTTIPに同意する可能性は今後さらに低くなる。おそらく
TTIPは破棄される。TPPだけが残るが、TPPは拡大NAFTAであり、
米単独覇権体制の強化でなく、多極型世界における米国周辺地域の統合を強化
するものになる。(米国の中枢には、単独覇権体制を声高に希求する人々と、
多極型世界をこっそり希求する人々がいる。ベトナム戦争もイラク戦争も、単
独覇権を過激に追求してわざと失敗させ、多極型世界を実現する流れだ。単独
覇権型の貿易体制が多極型の体制に化けても不思議でない)
http://www.marketwatch.com/story/the-trans-pacific-partnership-charade-tpp-isnt-about-free-trade-at-all-2015-10-05
The Trans-Pacific Partnership charade: TPP isn't about `free' trade at all

 以前、日本はTPPの交渉に入っていなかった。日本がTPP交渉に途中か
ら参加し、今や米国より熱心な推進者になっている理由は、世界の多極化が進
む中で、何とかして自国を米国の傘下に置き続けたいからだ。日本の権力者が
国際的に自立した野心を持っているなら、対米従属の継続を望まないだろうが、
戦後の日本の隠然独裁的な権力者である官僚機構は、日本を対米従属させる
ことで権力を維持してきた。対米従属下では、日本の国会(政治家)よりも米
国の方が上位にあり、官僚(外務省など)は米国の意志を解釈する権限を乱用
し、官僚が政治家を抑えて権力を持ち続けられる。近年では、08-09年の
小沢鳩山の政権が、官僚独裁体制の破壊を画策したが惨敗している。対米従属
は、官僚という日本の権力機構にとって何よりも重要なものだ。
http://tanakanews.com/13012japan.php
日本経済を自滅にみちびく対米従属

 TPPは、米国の多国籍企業が、ISDS条項などを使って日本政府の政策
をねじ曲げて、日本の生産者を壊滅させつつ日本市場に入り込むことに道を開
く。日本経済を米企業の餌食にする体制がTPPだが、日本の権力である官僚
機構にとっては、米政府に影響力を持つ米企業が日本で経済利権をむさぼり続
けられる構図を作った方が、米国に日本を支配し続けたいと思わせられ、官僚
が日本の権力を握り続ける対米従属の構図を維持できるので好都合だ。米企業
が日本でぼろ儲けし、日本の生産者がひどい目に遭うことが、官僚にとって
TPPの成功になる。官僚が、意志表示もほとんどしない国民の生活より、
自分たちの権力維持を大事と考えるのは、人間のさがとして自然だ。
http://tanakanews.com/150618tpp.htm
大企業覇権としてのTPP

 米国はTPPに対し、貿易だけでなく経済システム全般の枠組みとして、今
後の米国の影響圏設定の意味づけを持たせている。TPPに入れば、日本は、
米国の影響圏内にいることを明示でき、世界が多極化した今後も、米国の経済
システムの中に入って対米従属を続けられるが、TPPに入らなければ、日本
は中国の影響圏に入るしかない。
http://fortruss.blogspot.ru/2015/10/obama-on-tpp-america-should-write-rules.html
Obama on TPP: America should write the rules of the global economy
http://www.ft.com/cms/s/0/2c07cd48-6b9b-11e5-8171-ba1968cf791a.html
US in position to write rules on trade

 今夏以降、中国経済が減速すると、日本経済が大打撃を受け、2四半期連続
マイナス成長の不況入りが濃厚になっている。すでに日本経済は、米国など
TPP圏より、中国に依存する度合いが強くなっている。長期的に見て、米経済
は巨大な金融バブル崩壊の過程にあるので、日本経済にとって米国より中国の
方が重要である傾向が、今後さらに強まる。放っておけば、日本は経済面から
中国の傘下に引き込まれていく。隣の韓国は、経済面で中国の傘下に入ること
をすでに容認している。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/0f66b698-67dd-11e5-97d0-1456a776a4f5.html
Japan's Tankan shows dwindling business sentiment
http://www.wsj.com/articles/japan-industrial-output-slide-hints-at-recession-1443582684
Japan Industrial Output Slide Hints at Recession

 TPPに入っても、日本経済の中国依存が減るわけではない。TPPはもっ
と政治的、国際システム的、象徴的なものとして、日本が中国でなく米国の傘
下にあることを示すものだ。TPPが重要なのは、関税率とか「コメや乳製品
が値下がりして国民生活を助けます」とかいう経済面でなく、TPPが経済政
策の政治的な枠組みであり、日本が米国の傘下にとどまるか、中国の傘下に追
い出されるかという、多極化する世界の中での今後の日本の位置づけを明示し
ている点だ。
http://tanakanews.com/150408japan.htm
安倍訪米とTPP

 日本ではここ数年、国民が中国や韓国を嫌うように仕向けるプロパガンダが
マスコ"ミによって流布され、それを国民の多くが軽信している。こうした洗
脳戦略も、米国が衰退して中国が台頭する多極化の傾向への対策だろう。洗脳
戦略がなかったら、国民のしだいに多くが「米国より中国と組んだ方が日本経
済のためだ」「TPPでなく日中韓で貿易圏を作れば良い」と思うようになり、
民意主導で日本が対米従属から離脱していってしまう。それを防ぐため、国民
が中国や韓国を「敵視」するのでなく「嫌悪」するよう仕向ける洗脳戦略が
採られ、かなり成功している(敵視を扇動すると、日本が中国に対して攻撃的
に関与してしまうことにつながり、どこかの時点で日中が折り合って和解して
しまいかねない)。
http://tanakanews.com/120101CJKFTA.htm
TPPより日中韓FTA

 TPPと並んで、自衛隊が米軍と一緒に海外派兵できるようにする日本の集
団的自衛権の強化も、対米従属維持のためだ。先に書いた、カナダ軍が米軍の
傘下に入って海外派兵する新体制を作ろうとする米加軍事統合を、日本の集団
的自衛権の強化と並べてみると、2つが良く似ていることに気づく。カナダは
米国から「多極化の中で国家統合を進めたいなら、カナダ軍が米軍の傘下に入
って海外派兵できるようにしろ」と言われ、迷いつつ進めている。それを見た
日本外務省が「うちも、米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしますので、
多極型世界における北米圏に入れてもらって良いですか」と申し出た。米国
は了承し、日本は集団的自衛権を改訂した。NAFTA(北米経済圏)の拡大
版であるTPPに、日本が何とかして入ろうとしたのと同じ構図だ。

 日本では、米国が昔から将来までずっと日本を傘下に入れ続けたいのだとい
う勘違いが、意図的に流布されている。米国は歴史的に、ハワイやグアムを自
国領にしたり、フィリピンを植民地にするなど、太平洋を自国の影響圏として
設定してきたが、そこには日本が入っていなかった。単独覇権から多極型世界
への(隠然とした)シナリオだった911前のサミュエル・ハンチントンの
「文明の衝突」でも、日本は、米国にも中国にも従属しない「孤立文明」に分
類されていた。TPPでも、米国は当初、米国と同様アングロサクソンの国で
ある豪州とニュージーランド、豪州とフィリピンの間にある中小の諸国をTPP
の交渉に入れていたが、日本を入れていなかった。

 第二次大戦後、米国が日本を自国の影響圏に入れておいたのは、ソ連や中国
との冷戦構造があったからだ。日本は、米国が中露と対立している限り、米国
にとって有益な場所にあるが、世界が多極型になり、米国と中露が対等な関係
で協調するようになると、米国が日本を傘下に入れておくとやっかいなことに
なる。日本は、米国の傘下に居続けるため、中露と米国の恒久対立を望み、中
露と軍事対立し続けたい軍産複合体と結託し、多極型の世界運営の邪魔になる。

 だから、米国の単独覇権を過激に強化するふりをして破壊してこっそり多極
型覇権に転換する策をやっているオバマ(や共和党の隠れ多極主義勢力)は、
日本が延々と対米従属し続けることを望んでいない。オバマの本心は、TPP
をまとめず頓挫させたかったのではないかと思われる。

 今回、TPPの交渉が妥結した一因は、乳製品問題で前回の交渉を頓挫させ
たニュージーランドを、日本が輸入増で譲歩してなだめたからだ。バイオ医薬
品の独占期間の5年+3年の解決方法も日本が進めた。TPPは、日本のイニ
シアチブで妥結した。安倍政権を動かしている日本の官僚機構は、多極化が進
んで日本が米国圏から切り離される前に米国にしがみつこうと、これまでにな
い積極性で対米従属を強化している。日本が主導してTPPを妥結に持ち込ん
だのはその一つだし、説明抜きで無理矢理に集団的自衛権を強化したのもそうだ。
http://www.nzherald.co.nz/business/news/article.cfm?c_id=3&objectid=11523891
Major progress has been made in the long running trans Pacific trade deal
http://www.zerohedge.com/news/2015-10-05/trans-pacific-partnership-deal-struck-corporate-secrecy-wins-again
Trans-Pacific Partnership Deal Struck As "Corporate Secrecy" Wins Again

 日本の主導権発揮を受け、オバマはTPPの妥結を容認した。しかし、中東
や対露関係から判断してオバマは隠れ多極主義者であると考えられるので、こ
のまますんなりTPPが実現していくとは考えにくい。10月中のカナダの選
挙で右派の与党が負けると、カナダ議会がTPPの批准を否決する可能性が強
まる。米議会でも超党派でTPPへの反対があり、来年の大統領選挙で勝ちそ
うな共和党のトランプもTPPに反対だ。TPPをめぐる戦いはまだ終わって
いない。
http://www.motherjones.com/kevin-drum/2015/10/can-donald-trump-sink-tpp
Can Donald Trump Sink the TPP?
http://www.ctvnews.ca/politics/harper-under-pressure-to-deliver-fair-tpp-deal-amid-election-1.2505838
Harper under pressure to deliver fair TPP deal amid election
2:パイナップル :

2015/10/08 (Thu) 08:09:33

面白い記事でした。

米国が日本を傘下に入れ続けたいと思っておらず、傘下にいさせたいと願ってるのは、米国従属の下で権力を持ってきた官僚機構、という話はこれまで言われてきた話とは逆ですね。(官僚機構の米国従属は散々言われてきましたが)

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