【政界地獄耳】これからのシン安保について議論すべき時期にあるのではないか (日刊スポーツ - 七転八起 Shichitenhakki

2025/12/05 (Fri) 13:48:42

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202512050000026.html





★相互の思惑が一致したといえるのか、2日、香港のフェニックステレビが共産党議長・志位和夫にインタビューした。志位は「最大の問題は特定の国を名指しして、戦争を行うことがありうると公言したことであり、こんな発言をした首相は戦後の歴史でも高市氏が初めて」「中国は、これまで歴史問題に対しても、日本軍国主義を進めた勢力と、日本国民を区別した対応をとってきた。今回もそうした対応が必要。日本国民の多数は戦争でなく平和を願っている」「政治的な対立は、あくまでも政治問題として解決すべき。この問題を両国の人的交流、文化交流、貿易や投資など経済関係にリンクさせない」などと語った。

★首相・高市早苗の台湾有事発言を批判する多くの人たちの論調とたがわず、中国の考えにも沿っている。ただ今回の志位のインタビューでは新たな視点も指摘されている。「あいまい」という逃げ道を断つことだ。安全保障の専門家の中心にある「明確な定義や線引きをせずあいまいにしておくことが日本側の重要な手札になる。歴代首相は意図的にそうしてきた」という指摘だ。あいまいにしておくことは戦略的に手の内を明かさないといういわば作戦だったという考え方だ。一見、もっともらしいが、歴代首相は中国の腹もアメリカの腹も測りかね、あいまいにせざるを得なかっただけだったのではないか。ただ東アジアの平和を本気で希求するならば、まさにあいまいにしておくことをやめ、党が訴え続ける安保法制廃止を強く打ち出すのが筋だ。

★安保法制があいまい戦略を作り出し、いらぬ問題を作ってきたとすることを立脚点にして、保守勢力への遠慮がちらつく立憲民主党のあいまいさを断ち切らせるべきではないか。ことに同党の枝野幸男の言う「安保法制に違憲性はなかった」発言にくさびを打ち、これからのシン安保について議論すべき時期にあるのではないか。そろそろ聞く耳を持たない首相よりも建設的な議論に進める時期のはずで、そのかわり共産党にも覚悟が必要となる。（K）※敬称略